メラミン食器のメリット・デメリット|創業66年のメーカーが解説
こんにちは、abode homewaresのクヤマです。
皆さんはメラミン食器について次のようなイメージを持っていませんか?
- 他の樹脂製食器との違いが分からない…
- 子供用食器というイメージが強い…
- 化学物質が危険という噂を聞く…
このような疑問を感じている方に向けてメラミン食器とはどのような食器で、他の食器と比べてどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します。また、安全性に関する悪い噂についても、国の調査やデータを用いて分かりやすく解説致します。
メラミン食器の材料となるメラミン樹脂とは
メラミン樹脂とは樹脂の一種ですが、そもそも樹脂とは何なのか、そして樹脂とプラスチックの違いもご説明します。
樹脂とは天然樹脂と合成樹脂の総称
樹脂とは松脂や漆のように樹木の樹液が固まった物質を指します。このような天然の樹脂の需要は大きいが採取量が少なく高価なため、石油などの化学物質を使い人工的に作られるようになったものが合成樹脂です。元々は樹脂というと天然樹脂のことを指していましたが、現在では天然樹脂と合成樹脂の総称として使われることが一般的になっています。
プラスチックは合成樹脂の一種
化学物質から作られた合成樹脂の中でも、大きく分けて熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があります。私たちがよく耳にするプラスチックは合成樹脂という意味合いで使われることが多いですが、厳密に言うと合成樹脂の内の熱可塑性樹脂のことを指します。
熱可塑性樹脂(プラスチック)と熱硬化性樹脂それぞれの特徴は次のようになります。
熱可塑性樹脂(プラスチック)
見慣れない言葉ですが、読み方は「ねつかそせいじゅし」です。熱可塑性樹脂は過熱すると軟化して、冷やすと硬化します。この性質は何度繰り返しても変わらないため、一度製品として使われたものでも成型し直して再利用することが可能です。このように加工のしやすさから現在流通している合成樹脂のほとんどは熱可塑性樹脂となります。
身近にある熱可塑性樹脂ではこのようなものがあります。
- ポリエチレン(PE)
- ポリプロピレン(PP)
- ポリ塩化ビニル(PVC)
- ポリスチレン(PS)
- ABS樹脂
- アクリル樹脂
熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂は過熱すると硬化するという性質を持っていますが、一度硬化すると二度と元に戻ることはありません。熱可塑性樹脂と比べて加工のしやすさはありませんが、耐熱性や耐薬品性に優れ、強度も高いという特徴があります。
身近にある熱硬化性樹脂ではこのようなものがあります。メラミン樹脂はこの熱硬化性樹脂に含まれています。
- メラミン樹脂
- フェノール樹脂
- エポキシ樹脂
- シリコーン樹脂
樹脂製食器の優等生?メラミン食器の特徴
メラミン食器の材料であるメラミン樹脂は熱硬化性樹脂の一種ということは分かりましたが、食器として使うにあたり他の樹脂製食器と比べてどのような違いがあるのかご説明します。
メラミン食器のメリット
軽い
陶磁器と比較すると約1/2~2/3の質量なので、お子様やご高齢の方にはもちろん、大人も軽い食器を使うことで配膳や洗い物などのちょっとした動作が楽になります。
割れにくい
丈夫で割れにくく誰でも安心して使うことができます。メラミン食器はお子様向けというイメージが強いかもしれないですが、周囲の方も割れにくい食器に変えることで家族みんなで安心して食事を楽しめます。
キズがつきにくい
メラミン食器は樹脂製食器の中で一番の表面硬度を持っています。そのため少々のことではキズがつきにくく、長く愛用いただけます。
汚れが落ちやすく水切れが良い
滑らかな表面は汚れが落ちやすく、水切れもいいので、乾燥時間が短く家事の負担も軽減できます。
保温・保冷性能が高い
熱伝導率が小さく保温・保冷性能に優れています。熱々の美味しい料理も長くゆっくりと味わうことができます。
お皿が熱くなりにくい
熱々の料理をのせてもお皿自体が熱くなりにくいので、手を火傷する心配もなく、食べる時も唇に熱を感じにくいので安心して食べられます。
発色が良く色褪せしにくい
ツルツルした表面は発色性に優れ、様々な色を使ったデザインも綺麗に表現することができます。アニメなどのデザインも多く、お気に入りのデザインをインテリアとして飾る方も増えています。
メラミン食器のデメリット
電子レンジ・オーブン不可
メラミン食器は電子レンジ・オーブンには対応していません。誤って使用すると焦げたり破損の原因となりますのでご注意ください。食器洗浄機には対応しているものと対応していないものがありますので、ご使用前に必ずご確認ください。
塩素系漂白剤に弱い
メラミン食器は塩素系漂白剤(キッチンハイター、ブリーチ等)に弱く、使用すると黄ばんだりします。そのため漂白する際は必ず酸素系漂白剤(キッチンワイドハイター等)を使用してください。
既に実証されているメラミン食器の安全性
間違った情報が取り上げられ世間に誤解を生む
かつてメラミン食器のホルムアルデヒド溶出が健康に障害を与えるという間違った情報が取り上げられ、世間の人々の誤解を招きました。現在もその間違った情報を信じて不安に思っている人も少なくないと感じますが、既に世界中でメラミン食器の安全性は確認されていますので安心してご使用ください。
世界中の衛生専門機関や専門家が保証
日本(厚生労働省)、イギリス BPF(イギリスプラスチック連盟)、ドイツ BGA(ドイツ連邦保健局)、アメリカ FDA(アメリカ食品医薬品局)など世界各国の衛生専門機関においても規格基準を定め安全性を確保しております。また、医学の専門家は「メラミン食器に含まれる程度の量のホルムアルデヒドは無害。体内に入ると水と二酸化炭素に分解され、あるいは排出されるため、蓄積される心配はない。(国立衛生試験所 林裕造病理部長、昭和62年12月10日読売新聞)」と見解を述べています。
自然食品にもホルムアルデヒドは含まれている
普段の生活の中で口にしている自然食品にもホルムアルデヒドは含まれています。メラミン食器と比べて含有量が大幅に大きいものもありますが、どちらも経口摂取なので短時間で水と二酸化炭素に分解し、体外に排せつされるため、蓄積されることはなく無害なのです。
品名 | ホルムアルデヒド含有量 |
メラミン食器 |
0~2 ug/ml(業界自主基準) 0~4 ug/ml(食品衛生法規制) |
ビール |
3 ug/ml |
卵 | 5 ug/ml |
にんじん | 7 ug/ml |
ねぎ | 13 ug/ml |
トマト |
15 ug/ml |
りんご | 17 ug/ml |
ほうれん草 | 10~25 ug/ml |
乾燥しいたけ | 100~240 ug/ml |
使い続けても安全性は変わらない
長い間使い続けて表面に傷がついているメラミン食器を検査しても、新品のメラミン食器と溶出度合いが変化することはありません。メラミン食器は1938年にスイスで開発されて以来、現在まで世界中の様々な場所で使われてきました。今もなお私たちの身近で使われ続けていることが何よりの証拠ではないでしょうか。